THE CHIVAS MASTERS Cocktail Competition 2015

~はじめに~
世界大会の舞台。沢山の方々にお力添えを頂き最高のステージに立たせていただきました。
このようなチャンスを下さったペルノ・リカール株式会社の皆様を始め、
サポートして下さった方々に厚く御礼申し上げたいと思います。
本当にありがとうございました!

今回の大会は、シーバスリーガルが故郷スコットランドで誕生した1801年から今日に至るまでを
4つの時代カテゴリーに分けその次代のシチュエーションにあったカクテルを創作する。これが今回の
大会のテーマでした。どの時代も、カクテル文化が広がりを見せた時代や、衰退、そして進化、、、と
ユニークな時代背景をもった大変重要な時代です。

5月にJAPAN FINALを終え、約2カ月の準備期間が設けられました。
準備期間は“4つのポイント”に絞り込んで準備を行いました。

1つ目がカクテルに対しての理解です。
クラシックカクテルの洗い直しとブラッシュアップを中心に行いました。著名なバーテンダーが
描いたカクテルブックを読んだり、実際に作成したり、オリジナリティを混ぜツイストしてみたり。
どんどんノートにメモをとり使えそうなエッセンスを取り込んでいきました。
この取り組みは大変功を奏したと思います。まず、私がFINALで創作したカクテルが全て各時代に誕生したカクテルのツイストでしたので世界大会でもガンガンツイストしようと決めていたからです。

2つ目が、感性を磨く事です。
ウィスキーの大会でしたので、蒸留所を巡ったり、日本の良さを発信したかったので古い文化を
学ぶためのスポットを訪れたり。色々と行いました!やはり、自国の文化を知り、幅を広げる事はとても重要なことだったと思います。

そして3つ目。
毎日継続的に行ったこと。メイキングの正確さの向上です。
普段の営業でも美しく、正確でスピーディなメイキングが出来るように、、、。
Webサイトの動画をみて取り込み、チームメンバーに見てもらいながら練習を行いました。
さらに、海外の技術も取り込めるようにポワリング、メジャーリングを特に練習しました。
そして、出来るだけ多くのバーを訪ねテクニックの研究をしました。

最後、4つ目がプレゼンテーション能力の向上です。
プレゼンテーションに関しては、出たとこ勝負!の色が強いので自分の中でテーマを決めました。
それは、“重点を最初に話すこと”、“拘ったポイント”、“情熱的に”をテーマにしました。
全て英語で練習を行い、ダメな個所は外国人の上司に聞いてみたりしました。
普段の会話レベルの英語では足りないと思ったので英語の単語にフォーカスして勉強も行いました。
やるからには後悔したくない、全力で!の思いであっという間に世界大会の日はやってきました。



~Start Chivas Masters~
NYCに到着し、2日後の7/13日。
若干の緊張感の残る、朝8時より会場の“ノマドホテル”の最上階にあるルーフトップエリアに集合。
今大会の主催者で、シーバスリーガルのグローバルアンバサダーのマックス・ワーナー氏から
レギュレーションの説明を受けコンペティションがスタートしました。世界大会は5つのラウンドで
構成されており、各時代に合ったカクテルを創作するのは日本大会と同じなのですが、そこに
人の“五感”を刺激するカクテル創作を行うというものがプラスされました。さらに材料、グラスは
会場中央にあるマーケットの物のみを使用するというものでした。最初のラウンドはローカルファイナル
で披露したカクテルの中から1種類を選び創作するチャレンジ。私は、進化する現代のカクテルシーンに
合わせ創作した“パーソナルコリンズ”を披露しました。初めてのチャレンジでガチガチに緊張も
していたのですが、練習のかいあってか、最大限のパフォーマンスを行うことが出来ました。

次のチャレンジは、“クラシック時代”にフォーカスをあて、“触覚”を刺激するようなオリジナルの
フレーバーアイスを作成しカクテルに使用するチャレンジ。カクテルメイクは翌日でしたので1日目はで
使用するアイスを先に作成。私は、フレッシュのオレンジジュース、アールグレイティー、
そしてビターズで作ったアイスキューブを作成しました。他の国のファイナリストはボタニカルを
使用したり、リキュールを使ったアイスを作成していました。

そして、そのまま次のチャレンジへ。
このチャレンジはある意味アドバンテージでした。なんと日本のバー文化である
丸氷を作成するチャレンジ!マスタークラスを前年優勝者の漆戸正浩氏から受けチャレンジがスタート。
自身のブースで丸氷に落していきました。普段の営業では丸氷を作成する事がないので苦戦を
強いられましたが何とか時間制限内に作成することが出来ました。

1日目のファイナルラウンドは“ディスコ時代”にフォーカスを当て“味覚と嗅覚”を刺激する
フードペアリングチャレンジ。会場であるノマドホテルの総料理長とヘッドバーテンダーより
マスタークラスを受け、カクテルの創作へ。自分のブースへ戻ると小さなコンテナに約20種類の
使用可能アイテムが入っており、限られた材料でデザートに合わせるカクテル、料理に合わせる
カクテルの2種類を創作いたしました。丁度、7月のNYCはアプリコットが旬でしたので料理にも
ふんだんにアプリコットが使われていたのもありアプリコットのピューレを使ったカクテルを
食事用に一品と、デザート用にサラッと召し上がっていただけるようにシャンパンに似た
印象のあるビールを使いカクテルを創作いたしました。

1日目のチャレンジを終え、反省点や、課題が多々にあり自己反省。
“こうしたらよかった”、“こう出来たはず”と自問自答し次の日は思いっきりやろうと
決めながら早々に眠りにつきました。

Competion 2nd Day

2日目のコンペティションも同じ時間に同じ場所からスタートしました。
2日目の最初のチャレンジは前日に作成したオリジナルアイスを使った“クラシック時代”に
フォーカスを当てたチャレンジ。会場内にあるマーケットから材料とグラスをピックアップし、
カクテルの創作をスタートしました。私は、沢山の数種類のベリーをシーバスリーガル12年を
使ってフランべし、“シーバスミックスベリージュース”を作成。そこにアマーロを合わせて
“マンハッタン”のツイストカクテルを創作致しました。プレゼンテーションも反省のおかげか、
大きなミスをすることもなくいいパフォーマンスが出来ました。

次に行われたチャレンジは、“進化現代”にフォーカスを当て“視覚”を揺さぶるカクテルの作成。
プロフェッショナルなフォトグラファーが写真を撮り、その“見た目”を評価するチャレンジ。
各国のファイナリスト達がマーケットからユニークな材料やグラスをチョイスしていく中、
私は“日本”にフォーカスしたカクテルを創作しました。“ネグローニ”のツイストに“フィズ”の
エッセンスを加えた“ジパングローニ フィズ”を作成。ソーダサイフォンに
シーバスリーガル12年に煎茶をインフュージョンしたものと、さらにグリーンティー、
エルダーフラワーのリキュール、ビターズとカラメルシロップを加え、プレミックスソーダを
作り、カンパリの上にトップアップしました。“日本”を感じて頂きたかったのでガーニッシュには
国旗をあしらった物と折り鶴を添えました。プレゼンテーションも無く、カクテルの説明も
出来なかったので不安でしたが高評価を後で頂きとても嬉しく、また、海外でも日本の良さが
披露できて良かったと感じました。

そして、いよいよファイナルチャレンジ。
70名の観客にカクテルを振る舞うチャレンジでした。
“第二次世界大戦後”の時代にフォーカスし“聴覚”を刺激するカクテルを作成しました。
振る舞うチャレンジでしたので大きなコンテナに材料を詰めプレミックスを作成。カクテルは、
日本ファイナルで披露した“ゴールドシンフォニー”をさらにツイストした物を作成しました。
シーバスリーガル12年にガリアーノ、フレッシュクリーム、レモンジュース、デメララシロップを
合わせ甘酸っぱいカクテルにし、ドライレモンピールに火を着け煙の演出を添えました。さらに、
ブースも沢山のお客様を楽しませられるよう、“居酒屋”をテーマに改造。
私も浴衣に着替えお出迎えをしました。
沢山の方々がブースにお越しになって頂きカクテルを楽しんでいってくれました。
こうして、瞬く間に2日間のチャレンジは終了し、エキサイティングな時間は幕を閉じました。

~Go to New orleans and Join Tales Of Cocktail~

コンペティションが終了し翌日から約1週間ニューオリンズへ移動。
ニューオリンズでは、“テイルズ オブ カクテル”に参加し様々なアクティビティを体験しました。
また、ニューオリンズは沢山のクラシックカクテルのメッカでもありますでオリジナルの
クラシックカクテルに舌鼓をうったりしました。表彰式は、ニューオリンズ2日目に行われ、
ニューオリンズで一番歴史のあるフレンチレストランにて発表されました。結果は、、、
優勝する事も出来ませんでしたし、悔しい思いも沢山感じました。ですが、それよりも
沢山の経験が出来、一緒にその体験を共有できた素晴らしいチームとの出会いが気持ちを
晴れ晴れとしたものに変え無事に表彰式も終えました。

~まとめ~
世界大会は、自身が普段から行っているバーテンダーとしての姿勢が試される最大の場所です。
決まった方法は無く、パーソナリティー、オリジナリティー、そしてホスピタリティーを
全て発揮する場所。それだけに普段のバーテンダーとしての立ち振る舞いや、スキル向上の為の努力、
英語の勉強、創造性を磨くことの大切さ、を痛感し、誤魔化しが効かない
もっと頑張らなければいけない、、、そんな気持ちにさせてもらえる場所だと感じました。

全ては、勝つために、、、日本のバーテンダーをもっと知ってもらう為に、、、。

今後は世界の舞台へと続くコンペティションがどんどん増え、日本人が活躍する場も
多くなると思います。そういったチャンス、きっかけを逃さず、次のステップへ進めるように!
私もチャレンジし続けていきたいと思います。

 アンダーズ 東京 ルーフトップバー 齋藤 隆一