2010シェリー・アカデミーツアーレポート

開催日時:2010年1月18日〜1月24日
参加者 :セルリアンタワー東急ホテル  吉田 茂樹氏
     ザ・プリンスパークタワー東京 横田 勝 氏
                    渡邊 俊彦氏

シェリーの基礎知識や幅広い楽しみ方を現地で学ぶ「シェリー・アカデミーツアー」が今年も開催されました。  同イベントには「ベネンシアドール認定試験」・「シェリー・カクテル・コンペティション」それぞれの優勝者が招待されます。シェリーの理解をより深めるために現地で開催される公式プログラムで、今年1月の開催で第8回を数えました。

1月18日(月)~19日(火)日本からヘレスへ
成田空港21:55 夜の出発、フランス(パリ)を経由してスペインの首都マドリッドへ、更にもう一度乗り換え南下して行きシェリーの生産地アンダルシア州ヘレス・デ・ラ・フロンテラへ向かいました。 出発から到着まで21時間30分 時差-8時間ほとんど休む間も無く1~2時間で乗り継いで行く長旅。午前8時過ぎ、日本より遅い夜明けを飛行途中に迎える事になりました。

1月19日(火)  ヘレス・デ・ラ・フロンテラ到着
現地時間13:00 航空機を降りると、1月と思えないほどの日差し、穏やかな風そして周辺には南国植物が生い茂る。日本の春のような心地良さを感じました。 現地でシェリー委員会 日本代表の明比さんに到着ロビーで迎えられヘレスの街並みを眺めながら送迎バスでホテルへ移動、街路樹にはオレンジの木が植えられ完熟状態でたくさんの実が生っていて、いくつものボデガ(ワイン熟成庫)やその跡地となる場所を目にする。我々が向かうホテル ロスハンダロスも実はウィリアム&ハンバートのボデガ跡地に立てられています。
14:00ホテル到着後は少し遅い昼食へ 現地では通常の時間帯である。
今回のツアーはシェリー・アカデミーツアーというシェリーの製造過程や畑の見学、そして食事や文化など体感する研修旅行、乾杯はもちろんシェリー、日本でもお馴染みのティオペペをボトルでオーダーした。「えっ ティオペペは日本でいくらでも飲めるのに・・・」と思いながら口にすると衝撃が走る。 現地で飲むシェリーはおいしいと聞いてはいたがやはり別物のように素晴らしく感じ改めてその品質の良さを再確認する。 日本でのシェリー=食前酒の形式に囚われずに前菜からメインデッシュまで幅広く楽しむことができました。
19:00 最初のボデガ見学はそのティオペペのブランドを所有するゴンザレス
ビアスへ、鉄格子の正面玄関を入りワゴンバスに乗り幻想的にライトアップされた夜の庭内や熟成庫を周ります。華やかなフロール香とオーク樽の香り、心地よい湿度が敷地内に満ち溢れていました。 テイスティングルームでは、8種類のシェリーを品種、製法によるそれぞれの特徴を持った味わいの違いを講義して頂き、その後にゴンザレス ビアスのスタッフ同行で、食事と合わせたディナーに招待されました。21:30からの食事も現地では通常の時間帯、充実した初日を送り翌日に備えることにしました。

1月20日(水)  海沿いの町 サンルーカルへ
9:00 シェリー原産地統制委員会事務局 本部で葡萄栽培についての講義を受け、ヘレスから約20km離れた海沿いの町サンルーカル・デ・バラメダに向かいイダルコ・ラ・ヒターナ社に訪問、畑では夏の乾燥する時期に備え水分を蓄えている状態のアルバリサ土壌と、この地特有の海風(ポニエンテ)を体感しボデガでは樽から出した生きたフロールのある状態のマンサニージャや50年物のオロロソ、ペドロヒメネスで優雅に酔い、ミゲル社長に連れられガイドブックで見た憧れの海沿いでの昼食、新鮮な海産物とマンサニージャを堪能しました。 夜のボデガ巡りはレイ・フェルナンド・デ・カスティーリャ社、小さなボデガながら品質を重視し一つ一つ大事に造っているとレイ・フェルナンドの社長は語る、その希少さを体感しながらテイスティング。ディナーはレストラン ラ・セパ・デ・オラへ、年代物のリオハや記念ボトルのシェリーなど我々にとっては博物館的場所である。最高の生ハムと言われるアンダルシア州ハブーコ村のイベリコなど、どれを食しても満足な料理と食材が並ぶ、そしてサービスをする60~70代と思われるカマレロ(ウェイター)の無駄の無い素早い動きに一同は目を奪われました。このようなお方はこの地には多く存在すると言う、まさにプロであった。

1月21日(木)  ベネシアンドール
9:00 前日と同じく委員会本部でのセミナー、今回はテイスティングを交えての講義を受け、午前中から飲酒状態のまま次のボデガへ、ブリストルクリームで有名なハーベイズ社訪問、ここでは熟成樽を管理するカタドール(テイスター)に生きたフロールを見せて頂きました。同行したベネンシアドール グランプリ横田さん、岸本さんの華麗な手さばきを見て私も挑戦してみたいと申し出をしてカタドール自ら指導して貰うもやはり簡単にはいかなかった。その後は出荷前の樽(ソレラ)と熟成途上の樽(クリアデラ)との違いをそれぞれの分類事にテイスティング。クリアデラの状態でも存分に味わえる素晴らしいワインでした。そして敷地内にあるシェリーミュージアムでは18世紀に使われていたブドウ栽培の道具が豊富に展示されています。手作業で行う重労働ながら先人のアイデアが施されブドウ栽培への情熱と歴史を作業道具から感じ取れました。
夕方の空き時間、シェリー専門店へ買い物に行き 店の経営者ハイメ氏の持つボデガス ファウスピノ・ゴンザレスへ、この時期でしか味わう事のできない発酵前のブドウ果汁(モスト)を試飲させて頂くことになった。丘の上にあるボデガまで歩いた後のモストのフレッシュな酸とフルーティさを最高の状態で味わえた。100~150年そして現在も使用し続ける樽にツアー一行のサインを書かせて頂きそこを跡にした。
夜になりウィリアム&ハンバート社へ訪問、ここは約5万の樽を所持するヘレス最大のボデガ、著名人がサインした樽やヴィンテージシェリーが豊富に列を成していた。そしてベネンシアを見て認めればウィリアム&ハンバート公認のベネシアンドールに採用すると突然の試験、日本を代表するグランプリ取得の2人とヘレス5回目のベテラン渡邊氏はもちろんであるが無謀ながら私も申し出た。シェリーに対する気持ちが伝わり何とか情けを掛けて頂いた。
その後ハンバートスタッフ同行で「旨いアンティチョークの料理を出す」と有名なレストランへシェリーと共に充実したディナーを今宵も楽しみました。

1月22日(金)  自由行動 ヘレスの週末
午前中 最後の見学 グルポ・エステベス社へ、ボデガ敷地内には馬の牧場があり馬術道具の展示や美術館を見て周る、工場の瓶詰め、ラベル貼りも見学、多数多彩のブランドを所有していてテイスティングも楽しめました。
午後からは自由行動 ヘレスの街並みを見学、週末でお昼の時間帯という事もありメインストリートは今までにない人で溢れ大道芸から生演奏も流れ賑わっている、1月のセール期間でショッピングなど楽しみ、見るものすべて新鮮でした。

1月23日(土)~24日(日)  ヘレスを跡に
この度の素晴らしい研修に参加する機会を与えて下さったシェリー原産地統制委員会の皆様、ご同行で現地案内をして頂いたシェリー委員会の明比さん、HBA渡邊さん、ベネシアンドール グランプリ 横田さん、岸本さん、シェリー通販会社 バモの犬塚さん そしてボデガの皆様に御礼申し上げます。

ムチャス グラシアス!!
セルリアンタワー東急ホテル 吉田 茂樹



2010シェリー・アカデミー研修旅行

1月18日
成田空港第一ターミナル、北ウイングFカウンター前に19時55分集合!今回の参加者は一足先にJEREZに向かっている明比さん含め6人での旅行となりました。無事にチェックイン、出国審査を終え21時55分発エールフランス277便にてパリ・シャルルドゴール空港に向け出発。そして長い、長いフライト14時間!

1月19日
パリに現地時間の4時10分到着!無事入国審査を終え、乗り継ぎのマドリッド行きのフライトまで3時間待ち。朝が早すぎる為、ショップがどこも開いていません。この時間を利用して、引率者であり唯一JEREZへ何度も足を運んでいる渡邊さんにJEREZの地図を見ながら、予備知識として町の情報やボデガの現況などをレクチャーいただきました。
7時15分、いよいよスペイン国内のマドリッド空港に向け出発!機内ではちょうど窓側になり雲の上での日の出!そういえば成田を出発する前からずっと夜だったのですね。地平線が赤く染まり、少しずつ明るくなっていく。青くなる空とのグラデーションで幻想的だった風景が今でも目に焼きついています。
9時20分マドリッド空港到着!次は目的地であるJEREZ空港へ向けてのフライト、ですがその前に2時間くらい時間があったので、みんなでちょっと早い昼食。ちなみに私はせっかくスペインに来たのだからと思い、ハモン・イベリコのサンドウィッチをいただきました!
そして、11時55分JEREZ空港に向けて出発!機内からブドウ畑を発見!着陸が近づくと共に、心も舞い上がってきました。移動時間22時間くらいでしょうか、到着いたしましたJEREZ DE LA FRONTERA!!
JEREZ空港ではTio PePeのとてつもなくデカイオブジェがお出迎え。空港で明比さんとも合流し、専用バスで街並みを見ながらまずはホテルへ。オレンジの木が歩道に植えてあり、熟した実がたくさん実っていました。(オレンジの実は旅行の最終日に役所の方が収穫していました)
ホテルに到着、チェックインを済ませ、14時30分くらいに集合、食事や買物のため街に繰り出すことに。JEREZの街は昼寝の時間(シエスタ)がまだあるらしくBarや飲食店以外は14時から17時くらいの間は、お店が閉まっていました。JEREZに着き最初の食事は『La Parra Vieja』(古いブドウの木の意味)というJEREZでも古いレストランへ。シェリー(Tio PePe)で6人揃って始めてのサルー!!
(乾杯)食事はもちろんのこと、JEREZで飲むシェリーは格別に美味しい。気候だけじゃなく、鮮度も違う気が・・・・?4時過ぎに食事を終え、街の散策と買物へ。フラメンコショップへ立ち寄り、せっかくなので私もベネンシアドールの衣装を購入しました。個人的に行きたかった今シーズンが旬の『Xerez CD』(サッカーチーム)のショップへも立ち寄ることができ、充実したショッピングとなりました。
19時『Tio PePe』で有名なゴンザレス・ビアス社訪問。
日本語の話せる唯一のガイド、パコさんにボデガを案内していただきました。途中でブドウの品種のことやシェリー作りに大切な土壌『アルバリサ』についての説明や新しくした蒸留器(アランビケ)を見学させていただきました。その後、樽の熟成しているボデガへ移動。独特の香り、ワイン?酵母?なんとなく犬?獣?動物のにおい?(表現が悪くてすいません)決して嫌ではない香りが漂っています。ボデガの奥にあるスクリーンでTio PePeシアターを鑑賞後、テイスティングへ。8種類のタイプの違うシェリーを解説していただき、今まで勉強してきたことを改めて確認することができたことや、各商品の細かいことも教えていただき初日から大変充実した時間となりました。
ボデガ見学後レストラン『メサ・レドンダ』に移動、ボデガ主催のディナーへ。シェリーに合う料理を用意していただき、オリーブやアンチョビ、ハーブを使った料理やEXバージンオイル、シェリービネガーを使ったマリネ、JEREZの料理オックステイルなどたくさんの料理をご馳走になりました。初日からこんなに食べていては後が心配・・・!?

1月20日
朝日を浴びながら、一人で街を散策しようと5時に起床。薄暗い中、地図を片手にまずは闘牛場、そしてこの旅行の趣旨が変わっていますが、どうしても行きたかったXerez   CDのホームグランドへ。その後街の中心や昨日見学したゴンザレスまで足を運び、まだ真っ暗なのに気がつけば7時に。朝日は拝めず、仕方なくホテルに戻り朝食。(ちなみにJEREZの日の出は8時くらいです)
9時にConsejo(統制委員会)にて、JEREZの歴史やシェリーの原産地について、動画による非常にわかりやすい説明がありました。私自身がシェリーのブドウの剪定法の『バラ・イ・プルガル』をあまり理解ができていなかったので、非常に為になりました。台木が2つに分かれていて、片方を剪定し実や葉がつくように蔓を伸ばす(バラ)。剪定されて蔓が無い(プルガル)。翌年ちょうど1月くらいに前年のバラを剪定しプルガルになり、前年のプルガルが蔓を伸ばしバラになる。その繰り返しで30~35年ブドウの木は使われるそうです。そんな畑の準備に、溝を掘り【アセルピア】(小さい池を作る感じ)、雨の時期に雨が流れないように溜めて下にしみこませるなどの1年間に46の仕事があるそうです。収穫は通常9月くらいですが、近年は少し早まり、8月中旬位になっています。ほとんどが手で収穫されますが、25%は機械で収穫されたとのことでした。
11時過ぎに『エル・クアドラド』というブドウ畑へ。始めて見るアルバリサ土壌のブドウ畑です。Consejoのセミナーで受けた剪定法を実際のブドウの木で確認することができました。私たちが到着する3、4日前まで雨が多かったそうで、アセルピア周辺のアルバリサ土壌は水を含んだ粘土質になっていました。ブドウ畑がなだらかな丘になっているのもブドウの栽培に適していて、斜面が急だと水が流れてしまい、平らだと水がそのまま残りカビの発生の原因になってしまうからだそうです。
ラガール(圧搾所)に移動し、ステンレスタンクのモスト(酒精強化前のワイン)の試飲をさせていただきました。タンクの中に少しだけフロールが浮かんでいました。(そのフロールは取り除かれて、ボデガに運ぶそうです)
ブドウ畑を後にし、イダルゴ・ラ・ヒターナ社訪問のためサンルーカル・デ・バラメダへ。
実際に樽の中でのフロールを見せていただき試飲、サンルーカルでフロールが浮かんでいるということは、マンサニージャです。樽出しのちょっとフロールが入ってしまったマンサニージャをいただきました(本当はフロールが入ってはいけないそうです)。ほかにもいろいろと試飲をさせていただき、グアダルキビール川沿いのランチ会場バホ・デ・ギアのレストランへ。さすがはサンルーカル!目と鼻の先の大西洋から獲れた魚介類は最高でした。長いランチの後の自由時間では、中には入れませんでしたが2件ほどボデガへ行ってきました。
JEREZに戻り19時にフェルナンド・デ・カスティージャ社訪問。もともとはブドウ栽培者の家系だったとのことで、今までのボデガとは違い小さいボデガでした。小さいながらも、良質なシェリー造りやブランデーの熟成を心がけているそうです。
少し前にランチが終わったような気がしますが、Barでタパスをつまみにディナーを楽しみました。

1月21日
昨日に引き続き朝7時から街の散策、昨日のBarで聞いたことの無いボデガの情報を入手したので早速偵察に。地図を見ながら探すと、外壁に何も書いていない小さなボデガを発見!ステンレスタンクと樽群を確認、そしてあの香りが漂っていました。
9時に前日同様、Consejoによる講義、なんと!サンデマン社で20年醸造家として活躍したパスカル会長の講義を受けることができました。発酵や熟成について詳しく説明いただき、フロールが及ぼす影響とは、ワインの上に浮び蓋になり酸化の防止になることやモストからクリアデラ、そしてソレラに熟成が進むと、フロールが消費してグリセリンの量が減っていくなど、ワインに常に相互作用があること。樽の中では、年間3~4%損失し、損失のほとんどが水分の為、中身が凝縮していくことを学びました。テイスティングと料理のマリアージュでは、フィノやマンサニージャは寿司や刺身、天ぷらに、アモンティリャードやオロロソは鉄板焼きなど、日本の料理と相性がとてもいいこと、シェリーは白ワインですから、白ワイン用のグラスを使いましょうとのことでした。
12時、ハーベイ社訪問、ボデガを見学中にカパタス(シェリーの職人)であり、ベネンシアドールでもあるラファエルさんに直接ベネンシアの使い方を手取り足取りレクチャーしていただきました。見たことのない道具があったので、質問をすると、樽の中でフロールが多く発生している樽からフロールを取り出し、フロールが薄い樽へ移殖する、その為のクビレテという道具でした。ブリストルクリームで有名なだけあってペドロヒメネスだけを熟成しているボデガがあり、30年以上熟成認定されているペドロヒメネスなどをテイスティングさせていただきました。白ワインでグラスの色が変わるのは『世界でもこれだけでしょう』とボデガ自慢のシェリーでした。
ランチの後、プログラム外のボデガ、ファウスティーノ・ゴンザレスへ。小規模なボデガならではの樽発酵のモストを試飲することができました。もう十分美味しい白ワインになっているのに、シェリーになるにはこれから酒精強化され最低3年は熟成しないといけないのですね。シェリーアカデミーの記念にとチョークで樽の鏡版に参加メンバー6人の名前を書いてきました。
20時ウィリアム&ハンバート社訪問、直線距離1キロもある熟成庫は圧巻です!ボデガ内の説明を聞いていたら、突然の抜き打ちテストが行われました!しかも合格した人には、ウィリアム&ハンバート社認定のべネンシアドールに!これはやらなきゃ損ですね。参加メンバー6人で挑戦。まずは知識、なかなか難しかったのですが全員クリアー!実技のべネンシア、もちろん全員クリアー!メンバー6人おかげさまで、無事に認定されました。これからもシェリーの普及頑張ってまいります。見学も終わり、シェリーアカデミー終了式へ。それぞれに終了証が渡され、ボデガ主催のディナーの為レストランへ移動。ハモンなどのタパスをつまみながら飲むのは、やっぱりシェリーが1番です!

1月22日
朝食後、9時グルポ・エステベス社訪問。なかなかユニークなボデガで、フラメンコの踊り子ローラさんから名前をつけた『ローラ』という熟成庫。フロールが良く育つようにと、7時~10時までピアノの演奏を流していました。ちなみにフロールやシェリーに良い影響を与えているかどうかの結果は、未だ出ていないそうです。温度管理は、樽の上方にパイプがあり、暑くなるとパイプから水を降らせて、温度を下げるなど、コンピューター制御を行っている熟成庫もありました。
シェリーアカデミーのボデガ見学もすべて終了し、自由時間へ。ランチと買物を済ませ、ホテルで帰国の準備。無理やりトランクに押し込み、準備完了。

1月23日
5時30分ホテルを出発し、JEREZ空港7時発マドリッド行きに乗り、また長いフライトを経て24日の朝、無事成田に帰国いたしました。 思えば、本当にTio PePeしか知らなかった私ですが、JEREZまで招待していただき、現地で学んだことは私にとって大きなプラスとなり、大変有意義な時間を過ごすことができました。今後もシェリーについて勉強し、シェリーの普及をしていきたいと思います。

ザ・プリンスパークタワー東京 横田 勝


原産地からの報告・シェリー最新情報


現在、原産地のヘレスでは世界的酒類グループの参入によりブランドの統廃合が進んでいます。最近ではペルノ・リカール社が所有していた1730年創業のボデガ「ドメック」がビームス社へ売却され、そのブランドの一部がルイス・カバジェロ社、オズボーン社へ売却されました。また、ウイスキーのボトラーのようにボデガからストックを少量購入し自社ブランドで販売をする「エキポ・ナバソス」のシェリーがスペイン・ワインのガイド誌で数あるスペイン・ワインの中から最高得点を獲得するなど、シェリーは今、大きな転換期を向かえています。
統制委員会が定める「フィノ」や「オロロソ」などのラベル標記にも新たなカテゴリーが加わります。
●「フィノ・スーペリオール」
●「マンサニージャ・スーペリオール」
熟成期間が長く、高品質のフィノ・タイプのシェリーに標記が許されます。
現行の標記では「フィノ・アモンティリャード」や「マンサニージャ・パサダ」がこれにあたります。
●「「ドライ」、「ペール」、「ペール・ドライ」
ミディアムやクリーム・タイプと同じく「ビノ・ヘネロソ・デ・リコール」に分類されるブレンド・タイプです。残糖分が限りなくゼロに近いフィノ・タイプのシェリーにMCR(濃縮ぶどう果汁)を少量加えたフルーティなシェリーです。残糖分はブリュット標記のカヴァと同程度です。
また、現地では一般的ですが、日本には極少量しか輸入されていない「マンサニージャ・エン・ラマ」も世界的に評価を高めています。「エン・ラマ」とは出荷前に冷却濾過をしない「生」のシェリーで、最近では「フィノ・エン・ラマ」も限定1万本で発売されました。
シェリーは高品質なワインとして世界的な注目を集めていますが、日本のマーケットはいまだ発展途上にあります。このため提供するバーテンダーには他の酒類と同様に、正確な知識をベースとした「魅力」を伝える役割が消費者と造り手の双方から求められています。

渡邊 俊彦