報告者 塩見 敏弘
【期日:2009年7月20日(月)~7月22日(水)】
【渡航先:Singapore(シンガポール)】
【参加選手】フレアー部門 :喜納 新 氏 (HBA ・沖縄ロワジールホテル那覇)
【随行員】上野 秀嗣 氏(NBA国際局長・理事・BAR HIGH FIVE)
塩見 敏弘 氏(HBA沖縄支部・ホテルムーンビーチ)
【主催】シンガポール・ホテル協会(SHA)、シンガポール・バーテンダー&ソムリエ協会(ABSS)
去る7月20日~7月22日に行われた、19thアジア・パシフィック・バーテンダー オブ イヤー・カクテルコンペティションにフレアー部門のHBA代表選手 喜納 新(沖縄支部ロワジールホテル那覇)の随行員として参加してまいりました、シンガポールの情勢やバー事情、大会内容等をご報告させていただきます。
シンガポール情勢
2010年にカジノやユニバーサルスタジオが新規オープンする(現地の人はカジノしか言っていませんでしたが)らしくあちこちで大規模な工事をしており新規ホテルも3つ建てているそうです。
それに合わせてか、たまたまかはわかりませんがそれ以外の地域でも既存ホテルの改装工事やショッピングモールの改修、新設工事も相当数おこなっていました。
これからシンガポール行きを考えている方は工事が終わる2010年以降に予定された方がいいのではと思うほど多くの新設、リニューアルオープンする施設が誕生しますます楽しい国になるのではと感じました。
それでも世界的不況も関係なしという感じでどこもかも人がいっぱいで小さな国ではありますが人の多さには驚きます。
交通手段としてはタクシーかMRTという地下鉄がありますがタクシーでも7~20S$で移動できるので我々はほぼタクシーで移動しました(1S$=68.8円でした)がMRTも案内がわかりやすく問題はないと思います。
我々のホテルから駅まで歩いて10分ぐらいの為タクシー利用、コンビニはセブンイレブンがあちこちにあり、高島屋や伊勢丹もあるので何不自由なく過ごせます。
昨年出場された荒井さんからはチャイナタウンでデコレ等の食材や機材は安く調達出来ますよと情報をいただいていたのですが我々は宿泊ホテルが高島屋の隣であった為、デコレのパインはそこで購入し大会へのぞみました。
気候は30度前後で年中真夏という感じですが沖縄よりは少し涼しいかなという気候でスコールはほぼ毎日あるということでした。
幸い私たちは一度も外出中に降られませんでしたが・・・とりあえずシンガポールの印象としては東京と沖縄が一つになったような国という印象で沖縄との選択対象と感じたのは事実でリゾート気分優先なら沖縄、トータルではシンガポールが優勢というところでしょうか・・・
シンガポールホテル情勢
名門ラッフルズホテルを代表に他にも世界の一流ブランドのホテルはほとんど進出しておりどこに視察に行こうか悩むほどでした、実際は時間の都合であまりまわれませんでしたが、一貫して感じるのはドアマンはじめロビー周辺のスタッフがいっぱいいるなという印象とセキュリティーは万全を期しているなというのが感想で宿泊者以外入れないところが結構ありかのラッフルズホテルはフロントですら宿泊者以外立ち入り禁止でした、我々はLONGBARが目当てだったので問題ありませんでしたが・・・シンガポールはチップ制ではないので使い勝手はいいですが料理はやはりエスニックで辛いものが多く日本の方が断然美味しいです。朝食はごく普通のブッフェ料理なので安心??
ホテルスタッフは笑顔も良く、よく働くなという印象でどの国でもホテルマンが心掛ける事は同じだなと改めて実感します。
シンガポールバー情勢
まずホテルバーですがラッフルズホテルの「LONGBAR」。ここは皆が訪れるバーでしょうからあまり参考にはならないと思いますが、シンガポールスリングを注文し落花生の殻を床へ落とす王道の体験をし、感動してしまいました。
シンガポールスリングに関してはおそらく作り置きでオーダーが入れば氷と注いで完成?と思う位の早さで提供されます。
しかし味は美味しかったです。カウンターにいるバーテンダーはかなり若い(多分)スタッフが2名で勤務をしていました。
ジンフィズも頼んだのですが、フルートシャンパングラスに氷なしで提供しておりそれにも驚きますが味はもっと驚きます!!
「LONGBAR」ではシンガポールスリングを楽しめば充分では・・・グランドハイアットの1Fにあるバーも訪れました。
ここは昼間に視察に来た時に営業はしていませんでしたが店内が非常にスタイリッシュで格好よくわざわざもう一度来て利用したバーです。コスモポリタンをオーダーしましたが、味も良く個人的にはここのバーが一番おすすめです。
グランドハイアット1Fなのですぐわかるはずです。次はセミファイナルの会場になるクラークキーにある「NOIR」というレストランのオープンテラス のバーコーナー。
ここは見た目で利用したのですがビールが冷えてないのに80S$、ラムコークが70S$だったのでちょっと損した気分、同行した沖縄支部副支部長小柳氏の意見でした。
同じくクラークキーにあるFASSIONBARへ、ここはガイドブックに紹介されていて良さそうだったので訪れたのですが、ゲストが一人もなく私たちだけ。時間が早かったのかもしれませんが他のバーは結構入っていたのでそれだけが理由ではないのでしょう、内装は豪華でした。
19thASIA PACIFIC BARTENDER OF THE YEAR COCKTAIL COMPETITION
ここからはメインの大会レポートを日別にご報告いたします。選手目線での報告は喜納選手のレポートにおまかせするとして私は今後参加される方へ参考になるような、実際に見て感じた、するべきこと、注意点等をレポートいたします。
ウェルカムディナー&ブリーフィング 7/20 18:30~
7月20日がウェルカムディナーですが、成田発の飛行機はANA、シンガポール航空共に夜中に到着する便しかありません。
小森谷理事の話では昼に到着する便もあるようですが、余裕をもって前乗りするのが理想でしょう。
NBA国際局の上野様は当日いらして充分間に合われていたのですが、そして選手には空港へシンガポールホテル協会手配のお迎えが来ます。我々は喜納選手を含めた4名でしたので、事前に上野様を通じて自分たちでホテルへ向かう事を伝えてもらいお迎えは無しにしてもらいましたが、その後も送迎が何回かあるので慣れる意味では、空港からお迎えを利用した方がわかりやすいかもしれません。
さてウェルカムディナーですがここへも送迎にて会場へ行くのですが協会の方からPM8:15にホテルのタクシー乗り場へ迎えに来ますとメッセージがあり、行程表では18:30スタートになっていてフロントの方にもメッセージを聞いてもらい確かに18:15と言っていると言われたのですが、とりあえず18:15にフロントへ降りてみるとやはり迎えが来ておりギリギリセーフ。
1BOXの車で送迎されるのですが、そこでクラシカルの部NBAの向井選手と初顔合わせ。他にマレーシアの選手2名も一緒で車内であいさつ&名刺交換、すでに和やかムードです。
会場はビーチの側のBBQレストランで日本勢は皆スーツでしたがちょっと場違い・・・各国の協会の方もスーツの方もいましたが選手は大半軽装でした、ウェルカムディナーの場所は毎年違うようなのでその時に合わすしかないでしょう。
ウェルカムディナーは地元のTIGERBEERが主催でドリンクはもちろんTIGERBEER、このビールはすごくライトな味で飲みやすい上に華やかな女性が何度も追加を聞きに来るので選手の方は、このあとのブリーフィングにそなえ飲み過ぎには注意してください。
BBQブッフェの食事も美味しく各国の協会の方や選手同士もかなりフレンドリー、ここで多くの方と仲良くなるのは一つのポイントだと思います。そしてNBAの上野様には各国の協会の方、選手の方も必ずあいさつに来られ、さすがだなと驚かされます。
我々も多くの方をご紹介いただき面識を持てたので本当に助かりました。
1つ知ることが出来たのは、他国ではソムリエ&バーテンダー協会として活動している所が多いという事で主催国のシンガポールもそうでした。2時間ほどの時間が経ちブリーフィングは無いのかなと思っていると、突然喜納選手も呼ばれ、レシピと材料のチェック、デコレーションは自分で準備するのかなどの確認がありOKならば書類にサインをしてと言われ、フレアーの選手全員のサインが終わると何か質問はあるかという確認がありそれぞれ質問に答えていただき、クラシカルの選手と交代、時間にして10分ほどのブリーフィングでした。その後しばらく歓談が続き終了となりました。
送迎にてホテルへ戻るのですが仲良くなった選手同士で二次会へ行くメンバーもいてNBAの向井選手も参加されていました。
会場BEACHCABANAカウンター ブリーフィングはこんな感じ TIGERBEERで乾杯!!
セミファイナル 7/21 18:00~ クラークキー セントラルパーク
昨日帰りの送迎時に迎え時間の行程表をもらっていたので、今日は事前に迎えの時間が分かっており安心です。
17:30の迎えなのでそれまでに喜納選手はデコレーションのパインの調達、軽く練習。
時間に余裕があるので迎えが来るまではゆっくりとされることをお勧めします。
理由は後でわかりますさて送迎に乗り込みいざクラークキーへ。
こちらは川の側にレストランやバーが立ち並ぶ視察をするには絶好の場所、そこの中央の広場にステージがありそこがセミファイナル会場です。
完全な外なのでかなり暑いです。レストランやバーはあるのですが販売機やコンビニは無いので水分補給のドリンクは事前に準備し持ち込むことをお勧めします。
ディナー後19:00~21TH NATIONAL COCKTAIL COMPETITIONが先に行なわれます。
STUDENT、MOCKTAIL、CLASSIC、FLAIR、ULTIMATE PERANAKANのカテゴリーがありそれぞれに同じ数ぐらいの参加者がいるので3時間ぐらいかかります。
こちらの大会もレベルは高く、STUDENTカテゴリーの選手のひたむきさや目の輝き、緊張感は
心打たれるものがあり特に印象に残りました。
そして1時間押しでいよいよASIA-PACIFICのスタートです。
まずはCLASSICの部からでここではじめて選手が集められ舞台袖のセミナーテーブルに出場順に材料、機材等を並べていきます。そして2名づつ演技をはじめます。日本の大会のようにスタートの決まりがなく、2人の準備が整い次第ばらばらに演技をはじめておりこの大会ではまわりに合わすのではなく自分のペースを優先することをお勧めします。
日本のNBA向井選手の出場順は7番目、見た限りでは無難に演技を終えた印象で一安心。
クラシカルの部は大半がボストンシェーカーを使用しておりましたが、どの選手も最初に氷のみでシェーキングしシェーカー自体をチルドしていました。本来のグラスを使用したカクテルを1杯、審査員用に小さなグラスに4杯のカクテルを作成しますがそのグラス全てチルドしておりこの作業は必ずおこなったほうが良いと思います。
デコレーションは派手で大ぶりのものが多く海外ならではという印象です。
ひとつひとつのボトルを3方向に披露し材料名を口で言いながらシェーカーに注ぎ作成しているので1人の演技時間は長く最後には完成したカクテルを掲げアピール、中にはシェーカーを回したり、ボトルをフリップするフレアー的要素を取り入れている選手もいてまさしく演技です。この大会はオーバーなぐらいの動きが丁度良いぐらいの気持ちで望んだ方が良いでしょう。
クラークキー入口:同じ送迎組で NBA向井選手の演技 スタンバイスペースはこんな感じ
そしてフレアーの部へ
フレアーは1人づつの演技で司会の合図で音楽がかかるのでクラシカルよりスタートがわかりやすいです。
喜納選手の演技は2番目で忍者の衣装に身をまとい作成するカクテルは「SHINOBI」です。ここで喜納選手について少し書いておきます。
喜納選手の勤務する「ロワジールホテル那覇」はホテルには珍しくプールサイドにフレアバーがありそこではもちろん、ホテルのイベントやブライダル等でも様々な趣向を凝らしたフレアーショーをしておりHBA沖縄支部の大会でもショーを依頼していたりしていたのでフレアーに対する熱い情熱は尊敬に値するほど感じており、前任の大城支部長時代から3年越しで今回の出場が叶ったのは支部全体の喜びでありその分、この大会にかける喜納選手の意気込みは相当足るものであると思いながら演技を見守ります。
フレアー部門になるとギャラリーの数も一気に増えその歓声もあってか多いに盛り上がり演技終了。
ノーミスという訳では無かったですがインパクトもあり良い演技だったと一安心、これで心配なく観戦に専念出来ます。
正直、喜納選手の演技が終わるまでは不安で落ち着けませんでしたから・・・しかし運営スタッフの方で一人ずっと我々に「大丈夫?何か必要なものは無い?」と気にかけてくれる方がいて非常にありがたかったです。
進行や案内に不安があるのは確かですが親身になって動いてくれる人が必ずいるのでそういう人を早く見つけてつかんでおくこともこの大会では不可欠な事と思います。
フレアーの部は全員で9名、ファイナルに進めるのは内4名、参加選手のレベルはかなりばらつきがあり、これはいけるぞという印象。その中で台湾の選手は抜群の安定感ある演技を披露しギャラリーも大歓声。
全ての演技が終了し、結果発表。まずはクラシカルの部から発表、数名発表のあと「ジャパン」のコール、向井選手無事進出と思っていると「間違いで韓国の選手です」とアナウンス、それはないだろうと話していると「続いてのファイナル進出はジャパン」と発表され再歓喜、今度こそ本当に進出です。
続いてフレアーの部の発表。まずはシンガポールの選手がコールされ次に「SHINOBI・・・ジャパン」のコールで喜納選手舞台上へ、チームジャパンそろってファイナル進出です!時間が押しているせいかすぐさま撤収作業のスタート、喜びも束の間「すぐに送迎車が出るから車に行け」と言われ慌てて車に乗り込みました。時計は深夜1時前、暑い外で約7時間の大会参加でヘトヘトです。控室も何もない外で長時間拘束されるので本当に体力勝負です、昨年出場の荒井さんからも「大変ですよ」と聞いていましたがこれ程とは思いませんでした。
フレアーの部で今後参加される方へ注意点を1つ。使用する空きボトルは持参でそこに1オンスづつ中身を選手立会いの下入れるのですが計量はかなり適当で相当多めに入れられます。
確認があるのでその時に、はっきりと量の希望を伝えて調整してもらった方がいいですよ。
喜納選手、忍者スタイルの演技 クラシカルファイナル進出者 フレアーファイナル進出者
グランドファイナル 7/22 18:00~ グッドウッドパークホテル ウインザーボールルーム
さていよいよファイナルです。例年で言うとガラディナースタイルで行われるのですが、今年からスタイルを変えて(不況の影響?)立
食ブッフェスタイルです。
ガラディナーというものに出席したことのない私としては楽しみにしていたのでちょっと残念。
しかし昨日のことを思えばホテルの宴会場でクーラーがきいているだけで充分です。
ステージ上は大きさこそ違えどセミファイナルと同じレイアウトでスタンバイの部屋もステージ裏にありやりやすそうです。
競技がはじまり向井選手はトップバッター。
ファイナルもクラシカルは2名ずつおこないます。昨日「普段の大会より断然緊張したと言っていた向井選手ですが落ち着きもあり、緊張しているようには見えず堂々と演技終了。
クラシカルに関しては見た目での優劣はわかりづらいので審査結果を待つのみ。
向井選手の創作カクテル ファイナルのカウンター 午前中は観覧車ツアーあり
昨日と違うのは競技順がクラシカル1クール、フレアー1クールと交互に行うことです。
次はフレアーこれまた喜納選手がトップバッターで演技スタート。2回目の演技だからかミスも少なく音ハメの演出も決まります。
昨日の採点集計表が貼り出されており喜納選手は3位での進出だったので1つでも順位を上げられればと期待しつつ演技終了。
昨日の出来よりも今日の方が良くあとは他の選手を見守ります。
1位通過の台湾の選手が昨日はブルースリーさながらの演技でしたが今日はマイケルジャクソンさながらに変えてきております。
他の3選手は昨日と同じ流れなだけにこれはインパクトが強く、しかもノードロップのミスなしで完璧の演技。
もう完全に完成されたルーティンで見ている方も落とさないと思える程の安定感。さすがに彼に勝つのはきびしいなと感じつつ結果発表へ。
喜納選手の創作カクテル セミファイナルの台湾選手 ファイナルの台湾選手
JWCのBEST STUDENT賞に日本から参加の戸沢貴光氏が選ばれ幸先よいチームジャパン。
向井選手も1昨年にこのJWCを受講されておりその時のBEST STUDENT賞を受賞しているそうです。
そしてクラシカルの部の発表、3位はサイゴンの女性選手が受賞、この選手は真っ赤の民族衣装で演技し(すいませんそれが制服なのかもしれませんが)笑顔もよく印象的な選手でした。
2位は台湾の女性選手が受賞。この選手は一目で台湾の選手だなとわかる演技で見事受賞。
昨年と1昨年の映像を見ましたが、台湾の選手は皆違う選手が出ていますが動きだけをみたら同一人物と間違える程です。
今回の選手も指先まで意識したきれいな動作で素晴らしい演技でした。
1位はシンガポールの男性選手が受賞。クラシカルは女性も多く出場していましたがそれでも男性の方が多い中で唯一の男性受賞者、世界的に女性バーテンダーの活躍が際立っているという証でしょうか。
残念ながら向井選手の入賞はなりませんでしたが、誰よりも熱心に丁寧にスタンバイをしているひたむきな姿勢はとてもいい刺激になりました、また上野様との絶妙?な掛け合いで緊張している沖縄勢全員をなごましていただき本当にありがとうございました。
そしてお疲れさまでした。
3位入賞のサイゴンの選手 2位の台湾の選手 1位のシンガポールの選手
いよいよフレアーの部の発表です。
3位入賞は中国の選手です。彼はスタンダードなフレアーのスタイルで4ボトルまでこなす堅実な演技。
派手さはありませんが上手いなという印象です。続いて2位、応援組は2位?4位?とやきもきしている中、当の喜納選手は撮影しているビデオカメラをいじっております。
NBA上野様が「ビデオ撮ってる場合じゃないよ」と言われた通り「ジャパン」のコール。
やりました見事2位入賞です。
賞状とおしゃれな盾を受け取る喜納選手を見て再び感動。
1位はやはり台湾の選手が獲得。
悔しいですがこれは誰もが納得の優勝でしょう。
彼と写真を撮りたくて大勢の人が押し寄せてきます。
昨日のセミファイナルから彼が通るところ通るところで「あの人だよ」という感じで話をしている人がいっぱいいたので人気も相当なものです。
3位の中国の選手 見事!2位の喜納選手 1位の台湾の選手
そして懇親会へと移りここからは記念撮影の嵐です。
国はみな全然違いますが3日間という長さが国内のどの大会よりも選手同士の交流を深くする大会だなと感じさせるほど入れ替わり立ち替わり各国の選手が記念撮影や話をして盛り上がります。
これこそがこの大会に出場する一番の魅力だと思います。
それぞれの選手がアドレスや電話番号、中には自分の働く店の地図をメモ用紙に書いて交換していてこのままみんなで飲みに行くよと言わんばかりの勢いです。
ずっと動きっぱなしであったシンガポールの運営スタッフのみなさんも無事終了した安堵もあって笑顔で写真を撮り合ってます。
3日間ずっと、つきっきりで働いていたので本当は疲れているはずなのに・・・
最後に全員集合で大歓声を上げての記念撮影、シンガポールの夜に感謝を込めて!!
素晴らしかった19th Asia Pacific Bartender of the Year Cocktail Competitionの終焉です。
両選手ともお疲れ様でした! ベストスチューデント賞戸沢氏 チームジャパン全員集合
強敵!チーム台湾 2位&1位 クラシカルの部の選手たち フレアーの1位&2位そろい踏み
大会責任者MAC LEE氏と 親切だったスタッフ ありがとう 最後は大歓声の集合写真
この大会視察を終えて感じたことは同じ志をもつバーテンダーはどの国の人間でも同じだなと改めて認識することが出来ました。
どの選手もキラキラとした力強い目で何事にも真剣に取り組んでいる姿は本当に心打たれます。
また運営をされているシンガポールの協会の一人一人のひたむきな姿勢や、アジア各国の協会の方と交流を持てる機会はそうそう無いと思います、それだけでも参加する事が出来て良かったと、感謝しております。
HBA国際部の小森谷理事に色々とご指導いただき、NBA国際局上野様とのパイプ役としてもご尽力下さり、本当にありがとうございました。
また昨年出場された東京支部の荒井選手には、わざわざ声をかけて下さり、その時の映像を貸して頂き経験者だからこそ出来るアドバイスをいただいたことは本当に心強かったです、ありがとうございました。
HBAという組織の深いつながりを感じる事が出来、続けていて良かったと感謝しております。
そしてNBA国際局の上野様には大変お世話になり、今回無事帰国できたのは全て上野様のご尽力のお陰です。
各国の人が上野様を頼りにしているのを目の当たりにし、また、気さくに若い選手に接していらっしゃる姿を見て、ただ感嘆をいたしました。我々にも色々な事を教えていただき、これほど心強かった事はありません。NBAの向井選手、戸沢さんにもお世話になりありがとうございました。大会責任者であるMAC LEE氏、温かい人柄で常にいろんな人に声を掛けておられ、その優しさが海外から参加している選手や関係者には大変ありがたく感じられました。
多くの方にお世話になって経験できた19回アジアパシフィックカクテルコンペティションですが、HBA会員の全員に出場のチャンスがあります、是非1つの目標としてチャレンジしていただきたいと思います。
今回のように小さな沖縄支部からの選手を選んでいただけたのですから・・・実際に見るのが一番の財産です。沖縄支部のメンバーにもこの経験を話し、実際に見る事がどれほど勉強になるかを伝えて行きたいと思います。
そして次に参加される選手、随行員の方へは荒井さんから引き継いだバトンをしっかりと渡したいと思います、出来ることは何でもご協力させていただきますので多くの選手が目指されることを願います。
今回このような貴重な経験をさせていただき感謝しております、本当にありがとうございました。
「アジア・パシフィック・バーテンダーオブザイヤー・カクテルコンペティション2009」参加レポート
フレア部門 喜納 新(HBA沖縄支部・沖縄ロワジールホテル那覇)
フレア部門代表選手に選ばれたのを、塩見支部長より5月の後半頃連絡を頂いたときは、嬉しさ反面、かなりのプレッシャーを感じた。
振り返るとAPCCのステージに立ちたいと、2年前に思い遂にこの時が来たと思いました。
翌日から大会で使用する曲の選曲、編集作業が始まった。
今回は日本の文化が出ている曲を10曲ほど選び、そこから良い所を抜粋し5分間の曲を仕上げた。
イメージで忍者で演技を行うことを、選ばれた瞬間浮かんだので、曲作りはスムーズに行えた。(それでも約7時間はかかりました。)
練習用ボトルで、とりあえずルーティンを流し演技の全体像をイメージした。曲に合わせて練習を行うにつれ、
曲と忍者のイメージでは2ボトル、2ボトル1ティンの演技がしっくりくると思い始めた。
しかし、今まで2ボトル、2ボトル、1ティンは殆ど演技には取り入れたことはありませんでした。
いろいろ悩んだ末、イメージを大事にし苦手な2ボトル、2ボトル1ティンの猛特訓を始めました。
出勤前に約2時間の練習を行い、徐々に手ごたえを感じってきた。
いつもはカクテルに使用するボトルで技、曲を選んできましたが、
今回は曲、技、カクテルといった、いつもとは逆のパターンでの取り組みとなる。
思ったよりカクテルは直ぐに仕上がり、7月からは、水を入れ実際の本物のボトルで練習を開始した。
丁度2週間前となる。練習用ボトルから本物のボトルへの調整はさほど違和感は無く順調に練習が出来た。
どんどん本番が近づき、練習も熱が入ってきて練習時間も長くなってきた。
丁度本番10日前に野外の公園で練習を行った為、熱中症にかかってしまった。
沖縄で住んで初めての経験となる。それから約5日間は練習が出来ない状況となる。
その後、体調の万全を考え練習は1時間ほどにし、後はイメージ練習を行った。
大会のルーティンは2ボトル、2ボトル1ティン2ボトル、2ボトル1ティン1、3ボトル、4ボトルでまとめ丁度5分キッカリのルーティンで臨む。
カクテル名はSHINOBI(忍)
マリブ30ミリ
モナンブルー15ミリ
バカルディ15ミリ
パイナップルジュース60ミリ
※デコレーション、パイナップル
7月19日 11:45沖縄那覇空港より東京成田空港にむけて出発。
14:40頃成田空港に到着し。
シンガポール行きの便に乗り継ぎで17:30出発シンガポールへ、チャンギ空港に到着したのは24:00頃。
その後、タクシーで宿泊先のMERITUS MANDARIN HOTELへ向かう。
随行者の塩見支部長と小柳副支部長、沖縄より応援の1名、自分の4名でホテル近くのレストランで軽めの食事を取り1日目が終了する。
7月20日 7:00頃起床し朝食を済ませ、1時間程練習を行うことにした。
近くの公園を探したが適当な場所が無く、道路の隅の僅かな芝生の上で練習をすることにした。
練習は、まずまずの仕上がりとなり、4回の通し練習でドロップ数は3回、ノードロップは2回となる。
一旦ホテルへ戻り30分ほど仮眠をとり、高島屋へ飲材を見に行き、軽く市内を観光した。
16:00頃部屋に戻ると留守番電話にメッセージが入っておりシンガポール協会からだった。
メッセージを確認すると20:30に迎えの車が来るのでロビーで待つようにとの指示だった。
しかしウェルカムパーティーが19:00にあると聞かせれていたので不思議に思い、塩見支部長にもメッセージを聞いてもらいNBAの上野氏に連絡を取ってもらった。
やはり思った通り、メッセージは間違っており、なんとフロントへ時間の変更と招待状が17:30頃届いていた。
待ち合わせは18:20だった。直ぐに準備をし18:10頃ロビーへ向かった。
ロビーへ着いた頃もう既に迎えの車は到着しており急いで乗り込んだ。
車にはクラッシック部門代表の向井さんとマレーシアの選手2名が待っていた。
マレーシアのフレア代表の選手はとても気さくで、よく喋りかけてきた。ウェルカムパーティーの会場に着くころには親友とまで言ってきた。
ビーチサイドのチャコールレストランで各国の代表の方々が次々に到着した。
その様子を見てかなり緊張した。緊張する半面今すぐでも演技がしたいと思った。
食事中、タイガービールが注がれているグラスがイメージ通りのグラスだった。
グラスは現地で購入予定だったので塩見支部長に話したところ、レストランのスタッフに購入出来るか問い合わせてくれた。
すると5分後塩見支部長が新聞紙で包まれたグラスを持ってきた。「買えたんですね!」と尋ねると、なんと貰えたとのことだった。
外国での親切心にけっこう感激した。
食事終了後、簡単なカクテルレシピチェックとルール説明が行われた。
ここで英語がダメな自分を上野氏が細かに説明をしてくれた。大変助かりました。
変更が多い大会と聞いていたので構えていたが、思った通り完成品で1杯、試飲用で4杯合計5杯のカクテルを作成しなさいとの指示だった。
ルールでは4杯だったのが5杯に変更。かなり想定外だった。
日本からの使用ボトルも4杯を想定しての最小本数を持ってきていたので、焦ったが直ぐに気持ちを切り替えることが出来た。やるしかない・・・・
22:00頃パーティーも終了しホテルへ帰る為、車へ乗り込んだ。するとマレーシアの選手も大会変更は焦っており、しきりに自分にボトルを貸してほしいと言ってきた。
セミファイナルで演技の順番がお互い近くなく、大会側の審査員がOKならば貸せても良いと答えた。
7月21日 朝食を済ませ1時間の練習を行った。しかし緊張の為か旨く技が決まらず微妙な仕上がりで納得いかなかったが、疲れが溜まるとイケないので早めに終了することにした。
迎えが17:50だったので、高島屋でデコレーション用のパイナップルとナイフを購入し、昼食を取った。
17:35頃ロビーに向かい送迎の車を待った。昨日同様向井選手とマレーシアの選手がバスに乗っていた。
セミファイナル会場のクラークキーに到着し、選手全員で食事を取った。
アジアパシフィックは、21:00頃の予定で19:00からはシンガポールの代表の選手を決める大会が行われた。
すると食事中にマレーシアの選手が来てボトルを貸してほしいと、また言ってきた。昨日同様順番と許可がOKならということを伝えた。
食事終了後大会スタッフから名札を貰い、演技の順番が決定された番号札だった。自分の演技はフレア部門2番目だった。
昨日の大会説明ではクラッシックとフレアを交互に行うと聞いていたので自分の演技まで集中力を持続させるのは大変だなぁと感じた。
マレーシアの選手はフレア部門1番だった。ボトルの件は大会側に確認取ったか?と聞くと確認していないとのことだった。
クラッシック部門の後とはいっても、時間的にボトルの貸し出しは無理ということを伝え現地購入を勧めた。一緒に探そうと提案しスタッフに酒屋の場所を聞いた。
その間マレーシアの選手は居なくなっておりマレーシアの選手も探す羽目になった。
塩見支部長はスタッフに酒屋の場所を聞いたり、他の国の選手に貸してくれないか?と頼みに行ったり大会側に確認を取るなどずっと走りまわっていた。
19:00頃マレーシアに選手が見つからなかったのでとりあえず、セミファイナル会場へ行くことにした。
すでにシンガポール代表を決める大会が始まっていた。
ふっと会場の舞台裏に目をやるとマレーシアの選手が練習をおこなっていた。
直ぐにボトルは大丈夫か?と尋ねると笑顔で大丈夫とのことだった。
購入したのか?と聞くと、もともとボトル(マリブ)は4本持ってきておりマリブの演技は2ボトルとのことだった。
本人は2ボトルが見せ場の大技になっていてドロップした時に備えての話だった。それでも予備2本は十分だと思った。
ずっと心配で探しまわったことを伝えると何事もなかった様に、笑顔で練習を再開した。
予想外の反応にびっくりし、しばらくたって腹が立ってきた。
自分も少し練習しようと思い道具を出そうと思ったところ、シンガポール予選の演技が始まった。
演技が気になり見に行くことにした。シンガポールの選手は7名エントリーし1名だけがアジアパシフィックの代表に選ばれるとのことだった。
7名の演技はどれも難易度が高くオリジナリティーが豊富だった。
自分もウォーミングアップを行わければと思ったが、塩見支部長よりボトルのチェックが始まると連絡を貰った。
ウォーミングアップは諦め舞台そでにまわった。
最終のレシピチェックとボトルの液体詰めが行われた。
選手はボトルを提出したらシンガポールスタッフがボトルの液体詰めを行った。
詰めるのを見ていたら、明らかに60ミリ程の分量だった。塩見支部長と顔を見合わせスタッフに30ミリじゃないのか?と聞くと30ミリと言い張った。
どう見てもそれ以上はいっていた。ポアのカウントを見ていたら、なんと今度は12カウントでボトルに詰めた。
これも抗議すると5ミリ程抜きこれ以上はダメと言われた。全くの想定外がまた起こった。大会資料でも30ミリと記載されており、練習も30ミリで行ってきた。
ボトルが詰めが終わり箱にボトルが詰められ、少しボトルを持ってみた。
持った瞬間かなり重く、これで演技が出来る自信がなかった。大会自体時間が押し、時間は22:00になっていた。当初クラッシック、フレアと交互に競技を行う予定が、変更になりクラッシック部門から先に全て行うことになり、その後フレア部門スタートとなる。
演技スタートは23:00をまわって舞台そでで出番を待っていると、またマレーシアの選手が声を掛けてきて、今度はグランドファイナルでボトルを貰いたいと言ってきた。
これにはさすがに呆れてしまった。
演技も終わっていないのに自信満々で、あかたも日本の自分はファイナルには行けないと言われている見たいで嫌な気分になったが、とりあえずそこは苦笑いですました。
待機中は大会スタッフのボトルのチェックが3回程あった。マレーシアの演技が終了し、いよいよ自分の番になった。一分間で準備を行い曲がスタート。
初めのモナンを持った時重くて、今まで練習した技ではスピルやドロップを連発してしまう可能性があり、急遽ぶっつけ本番で演技変更することにした。
曲の音ハメ部分を意識し後は体が動くままに演技を行った。
2ボトル2ティンまでなんとかノードロップで来れたが、一番自信があった1ティン1のボトルを取った瞬間大量にスピルしてしまった。
まだ1回も投げてもいないのに手が液体でびしょびしょになりここからは思うように演技ができなかった。3ボトルも重く技を出せず、回すことも困難だった。
当初予定していた4ボトルまでできなかった。
カクテルは時間内になんとか仕上げる事は出来たが、臨機応変に対応したとはいえ練習したルーティンが出来なかったことはとても悔しかった。
衣装の忍者服を着替え観客席に戻って他の選手を観戦していたら、日本チームと周りの観客から「よかった」と声を掛けられた。
自分では納得した演技では無かったが結構嬉しかった。
そうしてセミファイナル結果発表となった。フレアは10名中上位4名、クラシックは上位6名がグランドファイナル出場となる。
先にクラシック部門から発表があり、見事日本のクラシック代表向井さんのカクテル名とジャパンと発表があった。
日本チームは沸いた。その後フレア部門発表となり最初に予選第1位台湾の選手が決勝出場を決めた。
台湾の選手は去年のフレアチャンピオンでかなりの難易度と曲の構成、パフォーマンスと全てにおいて納得の演技だった。
その後予選2位シンガポールと発表があり、第3位発表で「シノビ、ジャパン!」と呼ばれた。かなり嬉しかった。
その後第4位で中国が呼ばれ皆で壇上で記念撮影が行われた。
帰りのバスに乗り込みフレア、クラシック共に通過出来たことを日本チームで喜んだ。
バスは日本チームが乗り込むと、10分程待機し発車した。マレーシアの選手はバスには乗らず彼のジャケットだけが座席に置かれていた。
7月22日 午前中、シンガポールバーテンダー協会が昼食と観光に連れっていってくれた。
殆どの選手は不参加で20名程の観光となる。
その後ホテルへ戻り17:30頃迎えのバスが来た。
車の中にはマレーシア選手のジャケットがまだ座席に残っていた。
そしてファイナルの会場グッドウッドパークホテルへ着いた。直ぐに会場へ向かい順番が書かれた名札を貰った。
決勝はフレア部門1番で演技をすることになった。
会場を見渡しているとオーストラリア、キューバの選手が激励しに来てくれた。
ファイナルはクラッシック、フレアと交互に演技することになった。
舞台裏に案内され準備を行う様に言われた。
今回は選手自らボトルに液体を詰める作業となる。昨日のこともあるしボトルには、とりあえず50ミリを入れた。
何か言われればやり直そうと思いチェックを受けに行ったが、すんなりOKと言われた。
そこからまた、3名の大会スタッフにボトルチェックをされ、うち2名は迷っていたがOKとなった。
クラッシック部門が始またが、バックミュージックで自分の使用曲が流れた。フレア演技の前に流すのかなぁ?っと思っていたら、音響ミスだった。
スタッフは笑いながら謝っていたが、自分よりもクラッシック部門の選手が可哀想だった。
自分の曲はかなり音ハメ用で、効果音や太鼓の音が強調されているので、舞台の選手を見ていたら、何となくやりずらそうに見えた。
いよいよクラッシック部門も終わり自分の演技の番となった。気持ちはセミファイナルより落ち着いて、演技が始まった。
昨日1度演技をしているので、ボトルの重さや注意点は分かっていたので昨日よりは出来た。しかし、ルーティンは変更せざる負えなかった。
あっという間に5分間の演技が終了した。今回も時間キッカリに完成させることが出来た。
舞台を降り忍者服を着替えに行き帰ってくる頃に最後のフレア選手の演技が始まろうとしていた。
最後は予選第1位の台湾の選手だった。舞台一番前に行き演技を見た。予選で使用した曲とは違う曲で演技が始まった。
なんと予選、決勝用と2曲準備してきたのだった。彼の演技は完璧でした。
一度もミスすることは無く、パフォーマンスも面白く演技終了後自分は、これは二連覇だなぁと思いました。
全ての演技が終了し結果発表を待つだけとなった。
途中上野氏が来て笑顔で「お疲れさん、今日はどうだった?」と聞かれ「昨日よりは良かったです」と答えた。
その後ニコニコしながら一緒に発表を待った。
そしてフレア部門4位からの発表となり4位はシンガポール、第3位発表で中国。第2位で「シノビ、ジャパン」と呼ばれた。
かなり嬉しかった。1位はやはり台湾の選手だった。
発表後大会関係者の方々が次々来られ、みなさんに「来年リベンジでチャンピヨン」と嬉しいお言葉を頂いた。
その後1時間程雑談の後、トイレに行ったらバッタリ、マレーシアの選手と会った。すると、イキナリ頭を下げてきて祝福してくれた。
最後は握手をし別れた。
今回一緒に日本代表として参加したNBAの向井さんは残念ながら賞を受賞することが、出来なかったが素晴らしい演技でした。
今回Asia pacific bartender of the year cocktail competition 2009に出場させて頂き多くの方々に多大な力をお借りしたことを大変感謝しております。
本当に最高の経験ができました。